車いすを選ぶ際の注意点について
車いすはその特性上、ほぼ毎日しかも長時間使用することが想定されます。
乗っていて腰が痛いとか足がきついとなりますと、せっかくの車いすも億劫になり出かけたくなくなります。
そんなことにならないように、車いすを選ぶ際は用途と身体に合った物を選ぶようにしましょう。
当店では購入の際にいろいろアドバイスをさせていただいていますが、予備知識として下記を参考にされるのもいいかもしれません。
車いすの種類について
自走用(介助兼用)
自走介助兼用車椅子とは乗っている人が自身でこぐ事が可能で、介助者用の手押しハンドルにブレーキ付が付いている最も一般的な車椅子です。
後輪タイヤが18~24インチと大きく、タイヤの横に取り付けられたハンドリムを自身で操作し移動が可能で、介助者が車椅子後方から押して移動が可能です。手押しハンドルに介助ブレーキがついているため、介助者が坂道などでのブレーキ操作が出来て安心です。
自走用
介助者兼用の手押しハンドルに介助ブレーキの無い物を自走用といいます。
基本的に手押しハンドル(グリップ)があり、介助者が車椅子後方から押して移動が可能ですが、介助ブレーキがありませんので坂道などでの使用をおすすめいたしません。室内などの平坦な場所での利用におすすめです。
介助用
介助式車椅子は主に介助者が手押しハンドルを握り、後方から押して移動する車椅子です。
後輪タイヤが12~16インチと小さくハンドリムがないため車椅子に乗っている人が自身で移動操作は出来ません。
車いすの各部の名称について
駆動輪(後輪)は自走式ですと18~24インチで22インチが最も主流です。
駆動用ブレーキと言いますが駐車ブレーキになりますので、走行を止める為のものではありません。
グリップ部分の制動ブレーキは介助者用になります。これがあると危ない時に回避できます。この介助者用ブレーキが無いのが自走用になります。
シートもしくは座面といいますが車いすによってはこの座面の横幅と高さを任意で選べるものがあります。体格に合わせて選ぶようにしましょう。
フットサポートは長さが変えられるエレベーター式というものもあります。
重量は一般的なものが13kg前後が多く素材によっては10kgを切るものもあります。車に積んで行くことが多い場合は重量も重要な要素になります。
車いすが通れる幅について
家の廊下や部屋の入口、トイレの入口など車いすで通ることができるか不安になる個所があります。
国土交通省建築設計標準(平成28年度改正版)第2部 第4章 基本寸法等より、指定されている標準サイズの車椅子(全幅70cm以下、全長120cm以下)を使用した場合、車椅子で廊下などを通過するにあたり、
- 通過出来る寸法は約80cm程度
- 通路を通行しやすい寸法120cm程度
とされていて回転には更に幅が必要となります。
つまり自走式車椅子で狭い場所を通過するには、ハンドリムに添えた手の幅を考慮し最低でも車椅子全幅+10cm以上が必要ということになります。
購入の際は全幅をよく確認しましょう。
コンパクト、スリムな車椅子は狭い場所で移動しやすく、室内はもちろん外出時の使用でも大いに活躍します。室内、室外、使用用途や行き先などに応じて使い分けをすると便利です。
ちょうどいい座面の幅を選びましょう
一般的に車椅子の座面の横幅のことです。
標準的なサイズは座幅40cm前後とされています。
これは男女関係なく、車椅子に一般的に多いサイズとなっていますが、ご購入の際は車椅子の利用者にあわせた座りやすいサイズを選ぶことができます。
車椅子の座幅の選び方の目安は、利用者が座ってお尻の幅+3~5cmのゆとりで、介助者の両手がお尻とサイドガードの間に入る程度がいいとされています。
メーカーにもよりますがスリムなもので38cmから、ゆとりのあるもので45cm程度は比較的選択しやすくなっています。
お尻の左右に余裕のあるサイズをお選びください。
ただし、幅が広すぎると自走式の場合はハンドリムが遠くなり回しにくくなりますし、体が安定しない方の場合はぐらつき等が生じる可能性があります。
逆に狭すぎるとサイドガードに足が圧迫されてしまいますので、血流が悪くなるなど影響が出ますので体格に合わせて選ぶようにしましょう。
前座高の高さの選び方
足を床についてこぐことをしない方
前座高は 利用者の膝下から床までの高さに+5~8cmを目安にお選びましょう。
※車椅子の座面にクッションを置いて使用する場合はクッションの厚みも加味しましょう。
前座高は車椅子を選ぶ際に特に注意したい項目のひとつです。
前座高が高すぎる場合=足が地面に付かなくなりますので、降りる際に車椅子ごと転倒してしまう恐れがあります。乗る際も車椅子にぶつかりやすくなります。
前座高が低すぎる場合=立ち上がる際に膝に負担がかかり立ち上がりがしづらくなります。
※クッションの厚みで多少の調節は可能です。
足を床につけてこいで進みたい方
足が床につきやすいように、利用者の膝下から床までの高さ+0~2cmで床にかかとがつく高さを目安に少し低めの物を選びましょう。
タイヤの選び方
クッション性重視の方
乗り心地が一番大事という方はエアタイヤ一択です。
空気を入れることやパンクしたときの修理という一面がありますが乗り心地は一番です。屋外での使用でも大丈夫です。
長く使わないで置いておく方にはタイヤの空気が抜けてタイヤが痛んでしまいますのでおすすめできません。
屋内でしか使用しない、ガタガタしたところを通らないという方はNOパンクタイヤという選択肢もあるかと思います。
メンテナンスがあまりかからないほうがいいという方
メンテナンスの煩わしさが無いのはNOパンクタイヤです。
最近ではいろいろなNOパンクタイヤが出ていて乗り心地もよくなってきましたので、パンク修理の心配がいらない、メンテナンスの煩わしさがいらないというのは大きなメリットかと思います。